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使用者責任「逆求償」を認める
2020-05-22
原告の労働者はトラック運転者として荷物の運送業務に従事していました。22年7月に大阪府内の路上で自転車に衝突する交通事故を起こし、1人を死亡させました。遺族に対して支払った1500万円あまりの賠償金の返還を同社に求め、裁判を提起したものです。
民法第715条(使用者等の責任)は事業のために他人を使用する者は、被用者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う、使用者責任を定めています。使用者から被用者への求償権の行使は妨げられていないが、損害の公平な分担の観点から、事業規模・性格、被用者の業務内容・労働条件、勤務態度、加害行為の態様などの事情に照らし、信義則上相当と認められる限度で行使が認められています。
これに対し被用者が被害者に賠償をしたケースで、使用者に賠償の返還を求めるいわゆる「逆求償」が可能か否かはこれまで判例上明らかでありませんでした。
最高裁は使用者責任の趣旨は「損害の公平な分担」にあると判示しました。会社と労働者のどちらが先に賠償したかによって、使用者の負担額が異なるのは趣旨に外れるとして、労働者の逆求償権を認めました。逆求償権の行使に当たっては、使用者からの求償と同様に、前記最高裁判例の判断枠組みから、信義則上相当と認められる限度で行使可能としています。
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