本文へ移動

新着情報とお知らせ

!重要! 厳格化される 「過半数代表者」の選出要件
2019-08-26
「働き方改革関連法」が今年4月から順次施行されるなか、事業場における過半数代表者の選出要件をこれまで以上に厳格にみる傾向が強まっています。労働関係法令上の過半数代表とは、事業場に労働者の過半数で組織する過半数労働組合がある場合はその労働組合をさしますが、それがない場合は労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)との間で、いわゆる36協定等を締結することになります。また、就業規則の作成・変更についても過半数代表者の意見を聞かなければならないことになっています。
 この「過半数代表者」の要件が、今年4月1日からより厳格化されました。過半数代表者の選任については労働基準法施行規則に定めがあり、これまでは、①労働基準法に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと、②労働基準法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者(過半数労働者の選出は協定・届出等を行うその度毎に、選出することが望ましいです。)であることが要件とされていましたが、「使用者の意向に基づき選出されたものではないこと」が施行規則に追加されました。
 この背景には、過半数代表者を選出するに当たり、会社が指名するなど不適正な取扱いがみられることがあります。また、事業場の従業員で組織する親睦会の代表者をそのまま過半数代表者として締結された36協定を無効とする判断も示されています(トーコロ事件最高裁判決H13・6・22)。
 過半数代表者については、事業場(工場・事務所・店舗など)ごとに選出しなければならないことになっており、さらに、一般の従業員だけでなく、管理監督者・パートタイマー・アルバイト等も含めたすべての労働者の意向を反映させることのできる民主的な手続きが必要とされていますが、不適切な取扱いとされる「使用者(事業主や会社)が指名」が2割を超え、「親睦会の代表者等、特定の者が自動的になる」取り扱いをしている事業所も存在しています。
 過半数代表による「手続きを行ったことがある」具体的な手続きについて、「時間外および休日労働(いわゆる36協定)」が最も多く、「就業規則の作成または変更(意見聴取)」、「変形労働時間の導入(労使協定)」などの順となりました。
 これまで、過半数代表の役割が必要な事項は、労働関係法令の分野に多かったですが、企業組織再編・倒産、確定給付・拠出年金などの分野で急増しており、その対象事項は100を超えるといわれております。
 企業の分割・合併や非正規労働者の増加などで、過半数労働組合の割合はさらに低下し、「過半数代表者」の役割がますます重要性を増しています。こうした実情を踏まえて、各事業場では民主的な方法による「過半数代表者」の選出のあり方を再確認する必要がありそうです。
TOPへ戻る