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脳・心疾患労災認定基準
2021-07-28

 厚生労働省は、脳・心臓疾患の労災認定基準を20年振りに見直す方針を明らかにしました。労働時間の長さ以外の負荷要因である「勤務時間の不規則性」を総合的に考慮して業務上外を判断するとしました。

 現行認定基準では、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目し、①発症前1カ月間ないし6カ月間にわたって、1カ月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いですが、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど業務と発症との関連性が強まる、②発症前1カ月間におおむね100時間または発症前2カ月間ないし6カ月間にわたって、1カ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとしています。

 今回の見直しでは、同認定基準に「勤務時間の不規則性」を考慮要素に追加し、労働時間と総合して業務上外判断を行うとしました。

 「勤務時間の不規則性」を伴う勤務として、「拘束時間の長い勤務」「休日のない連続勤務」「勤務間インターバルが短い勤務」「不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務」の4つを示しました。

 「拘束時間の長い勤務」は、拘束時間数、実労働時間数、労働密度(実作業時間と手待時間との割合など)、休憩・仮眠時間数および回数、休憩・仮眠施設の状況(広さ、空調、騒音など)が検討対象となります。

 「休日のない連続勤務」では、これが長く続くほど業務と発症との関連性をより強め、逆に休日が十分確保されている場合は、疲労は回復ないし回復傾向を示すものであることを踏まえて評価します。

「勤務間インターバル」は、睡眠時間確保の観点から勤務間インターバルがおおむね11時間未満の勤務の有無、頻度、連続性について考慮するとしました。

 「不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務」は、予定された業務スケジュールの変更の頻度・程度・事前の通知状況、交替制勤務における予定された始業・終業時刻のばらつきの程度、勤務のため夜間に十分な睡眠が取れない程度(勤務の時間帯や深夜時間帯の勤務の頻度・連続性)などが考慮要素になります。

 一方、「出張の多い業務」は現行認定基準でも負荷要因として考慮しています。睡眠リズムの研究によりますと、時差が4~5時間を超えると生体が直ちに適応することが困難とされています。

 時差の程度については時間数にかかわらず評価の対象とするものの、とくに4時間以上の時差について重視することが適切としました。

 労働時間のみをもって業務の過重性を評価するのではなく、地の諸要因も十分考察した上で、総合的に判断する必要があるとの考え方に立っています。

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